ロードバイク用ヘルメットの安全性エビデンス

ロードバイク用ヘルメットの安全性エビデンス

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はいこんにちわ。つい先日ブログを移転しました。
はてなブログだと、検索エンジン対策とかがあまりにもできず、自己満足すぎる世界での執筆に嫌気がさしてしまったので、多少は色々な方に見てもらえるよう移設しました。
お手数おかけしますが、万が一お気に入りに入れてる場合は対応お願いします。

閑話休題

 

さて、本日はロードバイク用ヘルメットの話。

というのも、アパレル用品をどんどん揃えてオシャレを強化していくうちにかなり気になるのがヘルメットのデザインと機能性。オシャレという観点でみるからには、可能な限り何種類かほしい。また、機能性という観点でみるにはエビデンスが欲しい。

その中で一番の疑問がヘルメットの「3年縛り」
今時、携帯電話ですら縛りが消えて行っている時代に何故そんな短いライフサイクルを提示しているのかがほんとに疑問でした。
なので、本記事では規格・デザイン・実用性の観点から色々見ていこうと思います。


ロードバイクにおけるヘルメットの必要性と安全性

ヘルメットは必ずしも効果的で必要なのか?

自転車を趣味として楽しむ分について、果たしてヘルメットは必ず必要なのだろうか?

勿論、いちロードバイク乗りとしてはマストだと思っていますが、現時点では日本国法律上では13歳未満の着用努力義務とかいう言葉遊びがある程度です。それ以外には品質規格以外のものはない。

変わってレースシーンではどうなのか。こちらはUCI(国際自転車競技連合)やJCF(日本自転車競技連盟)等が定めている規則により必須である。

この両者での乖離について、何が原因か調べてみた。そう、調べてブログに書いていこうと思ったんだが・・・。

ヘルメット(自転車):Wiki

このウィキを見てほしい。まるで厄介ラジオリスナーのクソデカお便りである
まあ、端的に抽出すると

1991年からUCIはレースでのヘルメット着用義務化を目指していたが、ストライキに会い断念。その後、あるプロレース選手が亡くなったことにより方針転換というか強化。但し、実際にこれが功をなしているのかは不明

ということである。

また、ヘルメットを義務化することは必ずしも利点だけでなく、①安心感が増大する事による油断 ②自転車ユーザ減少による、対車の事故ケースの増大 ③そもそもヘルメットの構造が安全じゃない説 なんかもWikiには記載されてますね。

こちらの記事ではもっと詳しく掘り下げてたりします。

ヘルメットは被るべきか?BBCテレビがきっかけで再燃した是非論

ヘルメットの安全性規格の考え方と種類

勿論この「規格」というものは安心と厄介さが混ざっているものです。

というのも、誰がこの規格を制定するのか?といった時に、例え国主導で法整備化するにしろ現在その製品を製造しているメーカの責任者を有識者として呼ぶパターンが多いからである。
(これは私の仕事も規格やガイドラインが非常にうるさい業界で、業界構造を学んでいくと自ずと目につくところであります)

例えば日本の一般財団法人・製品安全協会が発行しているSG基準。

こちらはオージーケカブトやブリヂストン社の人間も委員会に名を連ねています。
まあ実際製造メーカがどう作ってるのかわかんないと制定できないから仕方ないよね。

こうなってくると、各社の利権というかマーケティング的な発想が入り交じり結局ユーザは言われるがままになるわけです。但し、勿論ながら自社の製品を使って問題が起きては困るし、あまりのも妥当性のない言葉を言っても専門家の先生からご指摘を受けるので、どこまでが利確でどこまでが安全性かについては境界が曖昧です。

この規格の中では耐衝撃試験や装着試験の方法・あごひも等着用部品試験、品質管理や賠償関係に関する文章が記載されています。

「3年縛り」のエビデンスというのは一つ、この中の「不適合製品着用時に事故にあった際、1億円限度で賠償するよ。期間は3年だよ」という件がある程度のようです。

日本国内だと、JCFの「ヘルメットの性能及びその試験基準」というのが参考になる規格かな。レース出る方はJCF認証ヘルメットをご使用下さい。

その他EU(CE EN1078)、アメリカ(CPSC/ASTM)といった規格があります。

自転車用ヘルメットとは若干ずれるところで、「日本ヘルメット工業会」のサイトでは

・産業用ヘルメットは異常が認められなくても3年以内に変えてね
・耐用試験年数は、各メーカが屋外ばく露試験等でやった結果だよ(加速試験?)だから目安だよ

なんて記載がありました。

ただ、この場合の産業用ヘルメットは工事現場で使うような、ワーストケースとして鉄骨が遥か上空から落ちてくるようなケースの想定ですし、ベンチレーションなんてこじゃれたもんは基本ついてません。
徹頭徹尾命を守る為の武骨なヘルメットなので、また事情は変わってくるかと。
そもそも、産業用ヘルメットでは顎紐等も定期的に交換しろよって言ってるわけだし。

更に、各メーカは勿論最低基準として各規格に合格する物を製造していますが、自社基準や業界基準といった部分を強く意識をしている更に高い基準をもっていると思います。
ロープライスとハイエンドプライスで軽量化・エアロ化だけとは考えにくいですしね。このあたりの詳細がメーカプレスリリースでしか得られない為、数字でどうこうのエビデンスがかなり希薄なんですよね。

そもそも規格の試験内容が頭部模型で計算してるけど重さの仮定それであってんのか

ヘルメットの材質・構造・耐衝撃について

さて、ここにきてやっと性能的なお話。
一般的なものはソフトシェルと呼ばれる外殻に、発砲スチロールが衝撃吸収材としてインサートされている。
事故があった際、単一方向の衝撃に対してソフトシェルが潰れる事で衝撃を吸収する。この様相は分解すると顕著にわかる。

だから一度ダメージを追うと、二度目はないシステムです。
そんでもって、この発泡スチロールだの接着剤だのが3年でダメになるから3年交換の理論に行きつくわけです。

下記動画4:00~より

ただ、こいつがどこまで効果を発揮するかのかは正直何とも言えないよね。あたり方もあるし、究極は運です。
クリテウム等でヘルメットを割った際の具合をこちらのサイトで見れます。

例えば、プロシーンで50km/hに近い速度で集団落車していても今のところ死者多発なんてことになっていないのはプロは受け身がうまいというのもあるそうで。

また、ヘルメット不要論者の意見の一つには「ヘルメットをすることで回転衝撃が増し、よりリスクが高まる」「一番ダメージ追うのは回転衝撃」といった理論もあります。

こちらについては、MIPSと呼ばれる多方向衝撃システムというものが昨今洋物ヘルメットのハイエンドクラスにはインサートされており、効果があるとの事です。
特に、この回転衝撃は脳震盪に影響します。脳震盪は鬱だの死亡に至るだのかなり重要視しなければいけない要素です。


出展:GIANT

 

トレック社が最近発表したWave Celというシステムは更に効果が認められているとのプレスリリースが出ておりました。

ウェーブセルは、一般的なサイクリングでの転倒を想定した実験*において、軽度の脳障害の発生を1.2%に抑える。従来のEPSフォームヘルメットにおいては、同条件での実験で、軽度の脳障害の発生が58.2%、ウェーブセルと同じく斜めの衝撃を吸収するために開発された「MIPS(ミップス)」のスリップライナー付きのヘルメットにおいても34.2%だった。他製品と比べても、ウェーブセルは圧倒的なプロテクションパフォーマンスを発揮する。

*ヘルメットを秒速6.2m、斜め45度で衝突させ、AISスコア2の怪我(脳震盪~軽度の脳障害)の発生確率を比較


引用:Cycle Sports

 

自転車での事故例・保険等に影響する部分

警察庁交通局による「平成29年における交通死亡事故の特徴等」では、死亡事故については頭部損傷がもっとも多い63%。また、同資料によると対自動車が80%以上と支配的である。
事故内容は出会いがしらが54%、右左折が30%。
それを考えると、ワーストケースのありがちなシチュエーションは「出会いがしらに車直撃貰って、脳みそダメージでご臨終」になるわけです。

 

保険関係に関しては、ヘルメットの着用中における事故補償なんてのもある。(SG/CEマーク付きが条件、au損保)

まあ、そもそも一番は死ぬ死なないだけども事故で入院や後遺症なんて話になったら機会損失が凄いよね。

これまた余談ですが、建設用安全帽着用時の15Mの高所から転落してなんとか生存した方の医学レポートがありました。
頭蓋骨の耐衝撃荷重とガイドライン記載の加速度のGでどう計算すれば正しいのか色々悩んだんですが、物理選考の割にわからず・・・。この中では、理論的には厳しいだろうに、おそらく転落時一気に全ての衝撃がかかっただけではなく、複数回のダメージが頭部を襲っており、そう考えるとヘルメットが有効だったと思う、とのような記載があります。

各ヘルメットメーカの推奨交換時期

さて本題。何故3年?という部分には、多分にメーカの販売戦略も多分にありますが、安全マージンを取って3年が妥当って事なんでしょうな。下記は各メーカの推奨交換時期です。

OGKカブト・・・3年交換推奨

Kask・・・3年交換推奨

Met・・・3-5年交換推奨

Giro・・・3-5年交換推奨

 

ちなみに3年経ったヘルメットを分解した様子を乗っけてるブログがこちら
「自転車ヘルメットの寿命は3年って本当ですか?」

私見

結局、僕らが4年はいけるだの、大体の製品のライフサイクルは7年くらいだし7年は行けるだろ、だの論議したところで、メーカが〇年と言ってる以上そこに従うしかないわけです。

いや、正確には従わなくてもいい。

従わなかった場合、どうなるかというとそれは「もしかしたら」死亡という幕引きなわけだ。
「安全」という言葉はある種呪いの様だが、「より良いサイクリングの為の実践」という趣旨で考えると推奨された用途で・期間で・用法で製品を使用しましょうという話になる。

例えば、このコロナ禍に置いて実際にマスクが効果ある・ないのなんて気にしてる人が果たしてどれだけいるのだろうか。実際、マスクはフィルターの性能や適合性(フィッティング)を細かく追うべきものだが、いろいろわからないことがある以上装着しておくか、なんて感じです。これはお互い感染しないように、を趣旨によりよい実践を行った結果なわけです。

事故にあった際も、ただの擦過傷で済むのか死亡事故になるのかで、悪いのは相手でも引いた側の罪が重くなるかどうかだの関わってきますので、是非皆様も「よりよい実践」を心がけて下さい。

ヘルメットのおすすめとか選定法については次の記事で書きます。